1.都市緑地法とは?

1-1.結論

都市緑地法(としりょくちほう)は、日本の都市部における緑地保全・緑化推進のための法律です(1973年〈昭和48年〉制定)。対象となる区域内では、緑地を保全するための建築制限や、緑化を推進するための緑化義務など、さまざまな制限が定められています。

不動産取引において都市緑地法が関係するのは、次のようなケースです。
また、これらに該当する場合は、宅建業法第35条に基づく重要事項説明の義務があります。

制限の対象となる「区域」

  • 緑地保全地域
  • 特別緑地保全地区
  • 地区計画等による緑地保全
  • 管理協定制度
  • 緑化地域
  • 地区計画等による緑化率規制
  • 緑地協定
  • 市民緑地契約

このように、都市緑地法にはさまざまな制度があるため、対象不動産にどのような規制がかかるかを確認する必要があります。

ただしこれらの制度は都市計画区域内で適用されるため、区域外の場合は基本的に対象外です。

以下、都市緑地法に関する必要な知識を初心者にも分かりやすく体系的に解説します。

1-2.都市緑地法の目的をサクッと理解

都市緑地法を理解するには、その目的を把握すると分かりやすくなります。

「都市緑地法の具体的な内容を早く教えて!」という方は、「3.緑地保全に関する制限まとめ」および「4.緑化推進に関する制限まとめ」をご覧ください。

都市緑地法はこうして作られた

都市緑地法は、都市部の緑地減少を背景に生まれた、緑地保全・緑化推進のための制度です。いまある緑地を保全し、かつ緑化を進めるといった二面性があります。

これにより自然環境が整備され、健康的な生活ができるようになります。リラックス効果はもちろん、熱の吸収、省エネルギー、建築物の保護など、多様な効果が期待されます。

1939年(昭和14年)には「東京緑地計画」が策定されました。これは、1924年の国際都市計画会議(アムステルダム)で提唱されたグリーンベルト構想などに影響を受けたものでした。しかし、その後の戦争で実現しませんでした。

戦後復興期には再びグリーンベルト計画が打ち出されましたが、財政難により中止となりました。その後、1956年に都市公園法が制定され、公園整備の制度はできたものの、「民有地の緑化」を対象とする制度は依然としてありませんでした。

1960年代の高度経済成長期には、急速な都市化により緑地が激減し、公有地の公園だけでは緑を守りきれないことが明らかになりました。その結果、民有地も含めた全国的な保全制度の整備が求められるようになりました。

そして1973年に「都市緑地保全法」が制定され、2004年には現在の「都市緑地法」へと改称されました。

この法律は、都市における緑地の保全及び緑化の推進に関し必要な事項を定めることにより、都市公園法(昭和31年法律第79号)その他の都市における自然的環境の整備を目的とする法律と相まつて、良好な都市環境の形成を図り、もつて健康で文化的な都市生活の確保に寄与することを目的とする。

— 都市緑地法第1条(e-Gov)

現在はこのように活用されている

現在では、都市緑地法は都市公園法や景観法などと連携し、より総合的に都市環境を整える仕組みへと発展しています。「緑の基本計画制度」により、市区町村が主体となって地域ごとの緑の将来像を策定できるようになりました。

さらに「市民緑地制度」や「緑化施設整備計画認定制度」なども整備され、単なる緑地の整備のみでなく、「地域参加」を重視した仕組みへと進化しています。

2.都市緑地法の全体像・体系

ここでは、都市緑地法の全体像を解説します。

理解しやすくするため、都市緑地法を大きく3つのセクションに整理すると、次のように区分できます。

  • ①緑地保全・緑化推進の基本方針(=緑をどのように守り、増やしていくか)
  • ②緑地保全の方法(=具体的にどのように緑地を保全するか)
  • ③緑化推進の方法(=具体的にどのように緑化を推進するか)

①緑地保全・緑化推進の基本方針

市区町村は、都市計画区域内において「緑の基本計画」を定めます(都市緑地法第4条)。これは、各地域の特性に応じて緑地保全・緑化推進の施策を行うための計画です。

民間事業者の義務を課すものではなく、「自治体による大方針が定められている」と理解すると良いでしょう。

②緑地保全の方法

具体的な緑地保全の方法としては、主に次の制度が定められています。

これらに共通しているのは「いまある緑地を守ること」です(→詳細は「3.緑地保全に関する制限まとめ」参照)

③緑化推進の方法

具体的な緑化推進の方法としては、主に次の制度が定められています。

これらに共通しているのは「緑地を増やしていくこと」です(→詳細は「4.緑化推進に関する制限まとめ」参照)

このように、市区町村が「緑の基本計画」により基本方針を定め、「緑地保全」と「緑化推進」を行う仕組みになっています。

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3.緑地保全に関する制限まとめ

ここでは、都市緑地法のうち「緑地保全」に関する制限を解説します。「3-1.緑地保全地域」「3-2.特別緑地保全地区」「3-3.地区計画等による緑地保全」「3-4.管理協定制度」に該当する場合に制限がかかります。

3-1.緑地保全地域

概要

緑地保全地域とは

「緑地保全地域」とは、比較的緩やかな行為の規制により緑地を保全する地域のことです。都道府県(または市区町村)が、都市計画法の地域地区として指定します(都市緑地法第5条)

緑地保全地域は、里地・里山など都市近郊の大規模な緑地が対象となります。

たとえば、2つの住宅地の間に広い雑木林や里山が残っているとします。この緑地が宅地開発されると、離れていた市街地が一体化し、都市が際限なく広がってしまいます。そのため、このような緑地は緑地保全地域として保護されます。

緑地保全地域は、北海道・東京都・福岡県などの一部の自治体で活用されていますが、未指定の自治体も多く見られます。

清瀬中里緑地保全地域|東京都清瀬市

主な制限

緑地保全地域内では、次の行為を行う場合、あらかじめ都道府県知事(または市区町村長)への届出が必要です(都市緑地法第8条)。原則として、届出後30日は行為に着手できません。

届出を受けた自治体は、その行為を緑地保全の観点から審査し、必要に応じて禁止や条件付与などの措置を行うことができます。これは緑地の開発行為を事前届出制により抑制し、必要に応じて中止させる仕組みです。

制限対象となる行為
1建築物その他の工作物の新築、改築又は増築
2宅地の造成、土地の開墾、土石の採取、鉱物の採掘その他の土地の形質の変更
3木竹の伐採
4水面の埋立て又は干拓
5屋外における土石、廃棄物又は再生資源の堆積 など

主な緩和措置

緑地保全地域内では、土地利用の制限がかかる一方で、次のような緩和策があります。

主な緩和措置
1▷管理協定制度(都市緑地法第24条)
・土地所有者等の管理の負担を軽減することが可能
2▷市民緑地制度(都市緑地法第55条)
・地域の自然とのふれあいの場として活用を図ることが可能

罰則

緑地保全地域内における届出後に、自治体による行為の禁止や条件付与などの措置があったにも関わらず、これに違反した場合は原状回復命令等が課される場合があります(都市緑地法第9条)。さらに、この命令に違反したときは、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処されます(都市緑地法第115条)

3-2.特別緑地保全地区

概要

特別緑地保全地区とは

「特別緑地保全地区」とは、厳格な規制により緑地を保全する地域のことで、都道府県(または市区町村)が、都市計画法の地域地区として指定します(都市緑地法第12条)

特別緑地保全地区は、市街地およびその周辺にある緑地を対象としています。

たとえば、市街地の中に残る雑木林や社寺林などの緑地が開発されると、地域の貴重な緑が失われてしまいます。このような比較的規模の小さい緑地については、特別緑地保全地区に指定し、厳しい規制により保全します。

烏山弁天池特別緑地保全地区|東京都世田谷区

緑地保全地域(→詳細は「3-1」参照)との主な違いは、保全対象となる緑地の規模にあります。

「緑地保全地域」は大規模な緑地を保全するものであることに対し、「特別緑地保全地区」は中規模な緑地を保全します。

たとえば東京都では、緑地保全地域は清瀬市の清瀬中里緑地保全地域(約24,717㎡)など多摩地域に多く指定されておりますが、区部には存在しません。一方で、特別緑地保全地区は、世田谷区の烏山弁天池特別緑地保全地区(約3,600㎡)などいくつかの指定があります。

主な制限

特別緑地保全地区内では、次の行為を行う場合、都道府県知事(または市区町村長)の許可が必要です(都市緑地法第14条)

本地区では、現状の緑地を保全することが原則であり、行為が緑地保全に支障を及ぼすと判断された場合は許可されません。また、許可に条件が付される場合もあります。

制限対象となる行為
1建築物その他工作物の新築、改築又は増築
2宅地の造成、土地の開墾、土石の採取、鉱物の採掘その他の土地の形質の変更
3木竹の伐採
4水面の埋立て又は干拓 など

主な緩和措置

特別緑地保全地区内では、土地利用の強い制限がかかる一方で、次のような緩和策があります。

主な緩和措置
1▷税制優遇
・相続税評価額:大幅減額(山林・原野は80%減評価)
・固定資産税:最大50%減免
2▷土地の買入制度(都市緑地法第17条)
・土地利用に著しい支障が生じる場合、知事(市長)に土地の買入れを申し出ることが可能
・譲渡所得には2,000万円の控除が適用
3▷管理協定制度(都市緑地法第24条)
・管理の負担を軽減することが可能
4▷市民緑地制度(都市緑地法第55条)
・地域の自然とのふれあいの場として活用を図ることが可能

罰則

特別緑地保全地区内における許可制度に違反した場合、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金に処されます(都市緑地法116条)

3-3.地区計画等による緑地保全

概要

地区計画等による緑地保全とは

「地区計画等による緑地保全」とは、地区計画制度を活用して緑地を保全する制度です(都市緑地法第20条)

地区計画等による緑地保全は、身近にある小規模な緑地について厳格な規制を行います(市区町村の条例による)。

小規模な屋敷林、社寺林、湧水池周辺など、緑地保全地域特別緑地保全地区に該当するほどの規模ではないものの、地域住民にとって価値の高い緑地を保全します。

山手町西部文教地区地区計画(山手214番館)|神奈川県横浜市

「地区計画等」とは、それぞれの地区に応じた居住環境の整備を図る計画であり、「地区計画」「防災街区整備地区計画」「沿道地区計画」「集落地区計画」「歴史的風致維持向上地区計画」のことを指します。

大規模な緑地は都市の骨格として重要であるため「緑地保全地域」「特別緑地保全地区」により保全されています。

一方で、小規模な緑地は地域住民にとって重要であるものの、その数が多く個別に指定するのは現実的ではありません。

そこで、地区計画等の仕組みを利用し、他の建築制限と一体的に緑地保全に関する制限を定めています。

たとえば、神奈川県横浜市の「山手町西部文教地区地区計画」では、歴史と緑にあふれる住宅・文教地区の形成を目指し、山手214番館とその周囲の緑が一体となった歴史的景観を保全することを目的としています。

主な制限

地区計画等による緑地保全では、具体的な制限内容は各地区計画により異なりますが、一般的な例として次の制限が挙げられます(【参照】地区計画等の活用による緑地の保全/国土交通省)

制限対象となる行為
1建築物その他工作物の新築、改築又は増築
2宅地の造成、土地の開墾、土石の採取、鉱物の採掘その他の土地の形質の変更
3木竹の伐採
4水面の埋立て又は干拓
5屋外における土石、廃棄物又は再生資源の堆積 など

主な緩和措置

地区計画等による緑地保全では、土地利用の制限がかかる一方で、次のような緩和策があります。

主な緩和措置
1市民緑地制度(都市緑地法第55条)
▷地域の自然とのふれあいの場として活用を図ることが可能

3-4.管理協定制度

概要

管理協定制度とは

「管理協定制度」とは、緑地保全地域・特別緑地保全地区などにおいて、土地所有者と地方公共団体等が協定を結び、土地所有者に代わり緑地の管理を行う制度です(都市緑地法第24条)

これは、土地所有者が自力で緑地の管理を続けることが難しい場合に、自治体等が代わって管理することで緑地を荒廃させない仕組みです。

管理協定による緑地保全(栗山特別緑地保全地区)|千葉県松戸市

たとえば、千葉県松戸市の栗山特別緑地保全地区では、土地所有者と松戸市による管理協定が締結され(平成21年9月24日)、緑地の維持管理が行われています。

主な制限

管理協定制度は、一度締結されると土地所有者は協定に反する利用をしてはなりません。

また本協定は、土地の売買契約等により土地所有者が変更になった場合でもその効力が及びます(都市緑地法第29条)

主な緩和措置

管理協定制度には、特段の緩和措置は設けられていません(緑地の維持管理負担が軽減されるメリットはあります)。

4.緑化推進に関する制限まとめ

ここでは、都市緑地法のうち「緑化推進」に関する制限を解説します。「4-1.緑化地域」「4-2.地区計画等による緑化率規制」「4-3.緑地協定」「4-4.市民緑地契約」に該当する場合に制限がかかります。

4-1.緑化地域

概要

緑化地域とは

「緑化地域」とは、緑が不足している市街地などにおいて緑化を推進する地域です(都市緑地法第34条)

一定規模以上の建築物の新築または増築する際には、敷地面積に対して一定割合以上の緑化が義務付けられます。

主に中心市街地などの密集地域で公園整備が困難なエリアが対象となり、市区町村が都市計画に基づく地域地区として指定します。

緑化地域内の街並み|愛知県豊田市

緑地保全地域(→詳細は「3-1」参照)や特別緑地保全地区(→詳細は「3-2」参照)が「いまある緑地を保全する」制度であるのに対し、緑化地域は「新たな緑地を増やす」ための制度です。

たとえば愛知県豊田市では、市中心部の約196ヘクタールの区域が緑化地域として指定されており、一定の条件の下で緑化が義務付けられています。

主な制限

緑化地域内では、次の行為を行う際、建築物の緑化率を最低限度以上に確保する必要があります(都市緑地法第35条)。緑化率の最低限度は市区町村により定められますが、その上限は25%とされています(都市緑地法第35条第3項)

制限対象となる行為
1▷敷地面積が1,000㎡以上の建築物の新築
・自治体条例により300㎡まで引き下げ可能
2▷敷地面積が1,000㎡以上の建築物の増築
・ただし、従前の床面積の20%以上の増築を行うものが対象
・自治体条例で最大300㎡まで引き下げ可能

主な緩和措置

緑化地域制度は義務付けの制度であり、税制優遇などの緩和措置はありません。
ただし、次のようなケースでは制限が適用除外となります(都市緑地法第35条第2項)

適用除外となる建築物
1▷周囲に十分な緑地がある建物
・もともと敷地全体が緑に囲まれており、追加の緑化を行わなくても都市環境に悪影響を与えないと認められる場合
2▷学校など特殊な用途の建物
・学校や医療施設などで敷地の一部しか緑化できないなど、やむを得ない事情がある場合
3▷崖地など、地形的に緑化が難しい建物
・敷地の一部が崖地などで緑化が困難な場合に、市区町村長がやむを得ないと判断したもの

罰則

緑化地域では、行政の調査等が行われる場合がありますが(都市緑地法第38条)、その報告を怠ったり、虚偽の報告または立入検査を拒否した場合は、30万円以下の罰金に処されます(都市緑地法第117条第6項)

4-2.地区計画等による緑化率規制

概要

地区計画等による緑化率規制とは

「地区計画等による緑化率規制」とは、地区計画制度を活用して緑化を推進する制度です(都市緑地法第39条)

緑化地域よりもきめ細かな規制を定めることが可能です(市区町村の条例による)。

緑化地域と重複して本規制が適用される場合もありますが、これは緑化地域内の個別エリアにおいて、地域の特性に応じた追加的な緑化規制を行うことを想定しています。

ノリタケの森地区計画|愛知県名古屋市

主な制限

地区計画等による緑化率規制では、次の行為を行う際、建築物の緑化率を最低限度以上に確保する必要があります。緑化率の最低限度は、市区町村の条例により定められますが、その上限は25%とされています(都市緑地法施行令第12条)

一見すると緑化地域との違いが分かりにくいですが、本規制の特徴は「個別エリアに応じた柔軟な規制」にあります。緑化地域が広域的に一律適用されるのに対し、地区計画等による緑化率規制は地区ごとに異なる基準(例:A地区10%、B地区20%)を設定することが可能です。

制限対象となる行為
1▷建築物の新築
※敷地面積などの要件は自治体により異なるため、事前の確認が必要です
2▷建築物の増築
※敷地面積などの要件は自治体により異なるため、事前の確認が必要です

主な緩和措置

地区計画等による緑化率規制は義務付けの制度であり、税制優遇などの緩和措置はありません。

ただし、次のようなケースでは制限が適用除外となります(都市緑地法施行令第12条第2項)

適用除外となる建築物
1▷小規模な建築物
・敷地面積が条例で定める一定規模未満の建築物の新築や増築の場合は、緑化率の制限が適用されません。
2▷既に着工している建築物
・緑化率の条例が施行される前に既に着工していた建築行為には、遡って適用されません。
3▷軽微な増築
・増築後の延べ床面積が、条例施行時の建築物の1.2倍(20%増)以内である場合には、緑化率の適用が除外されます。
4▷特別な事情がある建築物
・敷地の周囲に十分な緑地を有している場合や、学校・崖地などやむを得ない事情がある建築物について、市区町村長が許可した場合は適用されません。

罰則

地区計画等緑化率条例では、違反是正のために報告の徴収や立入検査などの措置を定めることができます(都市緑地法第39条第3項)。報告をせず、もしくは虚偽の報告、立入検査の拒否をした場合、30万円以下の罰金に処されます(都市緑地法第117条第6項)

4-3.緑地協定

概要

緑地協定とは

「緑地協定」とは、土地所有者等の合意により、緑地保全や緑化推進に関する協定を締結できる制度です(都市緑地法第45条)(同法第54条)

自主的なルールに基づく制度であり、以下の2種類があります。

45条協定(全員協定)

既成市街地において、土地所有者等の全員の合意により協定を締結し、市区町村長の認可を受けるものです。

54条協定(一人協定)

開発事業者が分譲前に市区町村長の認可を受け、3年以内に複数の土地所有者等に権利移転した場合に効力が発揮されるものです。

泉パークタウン紫山(緑地協定区域)|宮城県仙台市

主な制限

緑地協定では、土地所有者間で次のようなルールを定めることができます(都市緑地法第45条第2項)これらは緑地協定内で定めることができる事項であり、具体的な制限は協定ごとに異なります。

たとえば泉パークタウン紫山(宮城県仙台市)では、「接道部の緑化ゾーンの設定」「垣・柵は生垣、木柵等」「シンボルツリーの植栽」などが定められています(参考:緑地協定/仙台市HP)

また、緑地協定は土地の売買契約等により土地所有者が変更になった場合でも、その効力が及びます(都市緑地法第50条)

協定で定めることができる内容
1▷植栽・保全する樹木等の種類(例:常緑樹・落葉樹)
2▷緑地の配置場所や生け垣の維持・設置
3▷維持管理の方法(剪定・施肥・除草など)
4▷必要に応じて、建物配置や構造制限も定めることが可能

主な緩和措置

緑地協定の締結に際しては、市区町村によって支援制度が設けられている場合があります。

罰則

緑地協定は、土地所有者等の全員合意により締結される協定(私法上の契約)です。そのため、罰則は法令上では規定されていませんが、一般的には個別の協定内で定められます。

4-4.市民緑地契約

概要

市民緑地契約とは

「市民緑地契約」とは、土地所有者等が地方公共団体等と契約し、緑地や緑化施設を一般開放する制度です(都市緑地法第55条)

いわば、民有地をオープンスペースとして一般に開放する契約であり、市民緑地に指定されると、敷地内の維持管理支援や税制優遇などのメリットを受けられます。

成城三丁目なかんだの坂市民緑地|東京都世田谷区

たとえば、成城三丁目なかんだの坂市民緑地(東京都世田谷区)では、土地所有者の方を含めた近隣の方々が、地域住民に親しまれる魅力的な緑地を目指して維持管理しています(参考:市民緑地/一般財団法人世田谷トラストまちづくり)

主な制限

市民緑地契約では、その契約内容に応じた義務が発生します。契約で定められる事項は次のとおりです(都市緑地法第55条第1項)

市民緑地契約において定める事項
1▷対象となる土地の範囲
2▷施設の整備内容(住民利用のための設備など)
3▷管理方法
4▷管理期間
5▷契約違反時の措置

主な緩和措置

市民緑地では、土地所有者等が緑地を一般公開する代わりに、次のような緩和策があります。

主な緩和措置
1▷管理の負担軽減
・地方公共団体等が緑地の管理を行うことによる管理負担軽減
2▷税制優遇
・契約期間が20年以上等の要件に該当する場合、相続税が20%評価減
・土地を地方公共団体に無料貸与した場合、土地の固定資産税・都市計画税が非課税

3
▷国の補助(都市緑地法第56条)
・一定面積以上の市民緑地の場合、緑地公開に必要な施設整備が補助対象

罰則

市民緑地契約は、土地所有者等と地方公共団体等との間で締結される私法上の契約です。そのため、罰則は法令上では規定されていませんが、一般的には個別の契約内で定められます。

5.不動産取引時のチェックポイント

不動産取引において都市緑地法に関する重要事項説明(宅建業法第35条)が必要となるのは、次の場合です。

この中でも、不動産取引で特に注意しておきたいポイントを取り上げます。

5-1.個別契約がある場合

不動産取引において「管理協定制度」「緑地協定」「市民緑地契約」などの個別契約が存在する場合は、その旨について重要事項説明が必要です。

5-2.個別契約がない場合

個別契約が存在しなくても、「緑地保全地域」「特別緑地保全地区」「地区計画等による緑地保全」「緑化地域」「地区計画等による緑化率規制」に該当する場合は、重要事項説明が必要です。

調査事項が多く感じられるかもしれませんが、これらはいずれも都市計画に基づき指定される制度です。つまり、都市計画区域内であれば都市計画図により一括確認が可能です。一方で、都市計画区域外ではそもそもこれらの制度は適用されません。

都市計画図は、自治体によってはオンラインで閲覧できます。たとえば「名古屋市都市計画情報提供サービス」では、ノリタケの森周辺エリアが「緑化地域」および「ノリタケの森地区計画」に指定されていることが分かります。

(出典:名古屋市都市計画情報提供サービス(名古屋市住宅都市局都市計画部都市計画課))

本記事の監修者

株式会社Delight Hub 代表取締役

立原祥貴

首都大学東京を卒業後、豊島区(都市計画課)に入庁。

▶不動産の調査窓口や、池袋駅周辺の再開発・地権者交渉、用途地域等の法令改正、都市計画マスタープランの策定、都市計画審議会の運営など、主に都市計画事業に従事。

▶アパート経営をキッカケに土地仕入れに興味を持ち、不動産業界に。売買仲介営業や、iYell株式会社(住宅ローンテック企業)にて住宅ローン提案・マーケティング・マネジメントを経験。

▶2024年、住宅・不動産業界の営業DXを推進したいという思いから株式会社Delight Hubを創業。

▶東京都板橋区出身。資格は宅建士、FP2級など。